大阪地方裁判所 昭和38年(ワ)4637号 判決
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〔判決理由〕被告会社の責任
被告会社と被告大森の関係
(イ) 被告大森は、以前はタクシーの運転手として稼働していた者であるが、当時の顧客であつた被告会社の社長に勧められ、昭和三七年三月から被告会社の製品を運搬するようになつたが、その際、被告会社との間で、運搬に使用する車両は被告大森において購人し被告会社の製品の運搬に専従する旨の約定がなされた。
(ロ) 被告大森は右約旨にしたがつて前記自動車を自己名義で購入し、以後、毎日、被告会社の指示をうけて定められたコースにしたがい定められた販売所へ被告会社の蒲鉾を運搬、配達していたが、右自動車に被告会社の従業員が助手として同乗することもまれでなく、その他販売代金の集金の際には必ず被告会社の係員が同乗した。
(ハ) また、専ら被告会社の製品を運搬する関係から、被告会社と話し合いのうえ、右自動車の車体には被告会社の製品の商標である「かねてつ」のマークが表示されていた。
(ニ) 被告大森に対しては、被告会社から運送費の名目で対価が支払われていたが、毎月一定額が予定されておりとくに被告大森が休んだり、定期的に予定された以外の運搬をしたような場合以外には増減がなかつた。
(ホ) なお、被告大森が前記自動車を購入する際代金支払のために振出した手形について被告会社が同人のために保証している。
(資料<省略>)
右に認定した事実に照すと、被告大森は、被告会社の蒲鉾を運搬するについてすべて被告会社の指示にしたがつていたことが明らかであり、運搬、配達について被告大森の裁量が入り込む余地があつたとは考えられないし、更に、被告大森が被告会社の製品の運搬に従事するに至つた経緯や、同人が専ら被告会社の製品のみを運搬するものであり被告会社の従業員が被告大森の自動車に助手として同乗することもまれでないこと、右自動車には被告会社の製品の商標である「かねてつ」のマークが表示されていること、また、右自動車の代金の支払については被告会社が被告大森のために信用を与えていること等の事情は、被告大森が一般的に被告会社の意思に従うべき立場にあつたことを推認せしめるから、たとえ、運搬に使用されていた前記自動車が被告大森の名義で購入されたものであり、また、被告大森の運送に対する対価が運送費の名目で支払われ、同人が被告会社の従業員として雇用されていたものでなかつたにしても、同被告は被告会社の指揮監督の下にその意思に従つて蒲鉾の運搬配達に従事していたものというべく、かかる関係の認められる以上、被告会社は民法七一五条にいう使用者であり、被告大森は同条の被用者にあたると解するのが相当である。
そして、本件事故が被告会社の事業の執行に付き発生したものであることは、前示の如く事故当時被告大森が被告会社のために蒲鉾を運搬配達にいく途上にあつたことに照し疑いがない。(亀井左取 今枝孟 上野茂)